失業手当とは?
失業手当は失業保険と混同されることもありますが、失業保険は「雇用保険」、失業手当は「基本手当」が正式名称となります。雇用保険は在職期間中に給与天引きで保険料を支払い、将来失業したときに使用できる公的保険制度のひとつです。その雇用保険にもとづいて給付されるのが失業手当です。
そして、この基本手当を受けるための前提条件として必要になるのが、働く意思と能力があるかどうかです。退職したのち、仕事を探さずにのんびり休みたい、これ以上働く気はない、体調が悪いので仕事はもうできないという場合には支給されません。
失業手当の受給条件
この失業手当を受給するための条件は2つあります。
1つ目ですが、離職日の日以前の2年間に保険料を支払っていた期間が最低12カ月以上あることです。この12カ月という期間は同一の会社に限らず、別の会社で保険料を支払っていた期間も通算されます。
2つ目ですが、退職したあとに最寄りのハローワークに離職票を提出して「求職の申し込み」をする必要があります。何も手続きをせずに自動的に受給できるのではなく、自らハローワークに出向き「就職する気持ちがあります」と書類を提出しなければなりません。
また会社をどのように退職したかによって、失業手当が支給される開始日が異なります。
ここでは「自己都合退職」、「会社都合退職」、「その他」の3パターンをみていきましょう。
自己都合退職のケース
自ら会社を辞めると申し出て退職した人が自己都合退職です。この場合、まずハローワークに「求職の申し込み」を行いますが、待期期間が7日間あります。さらに給付制限期間というのが加わり、3ヵ月支給を待たなければなりません。通算すると支給されない日が7日+3ヵ月になりますので、失業手当は「求職の申し込み」をしてから約100日近く経たないと受給することができないということになります。
会社都合退職のケース
会社が倒産する、もしくは会社の都合で解雇された場合は会社都合退職となります。そして、このような状態になると、特定受給資格者・特定理由離職者といわれます。この場合は、「求職の申し込み」をして、7日間の待期期間が終わると失業手当の支給が開始されます。自己都合退職のような給付制限期間はありません。
その他のケース
その他のケースに当たるのが、定年退職と就職困難者に該当する場合です。
定年退職した場合、失業手当ではなく高年齢求職者給付金(基本手当日額の30日または50日分)が支給されます。年金を受給していた場合でも、高年齢求職者給付金は支給されるようになっています。
次に就職困難者について説明しましょう。就職困難者とは、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者、保護観察中の人、社会的事情により就職が著しく阻害されている人のことを指します。これらに該当するかどうかは最寄りのハローワークに行って確認するのが確実です。そして就職困難な理由によって支給開始日が異なるので、これについてもハローワークで相談するのがよいでしょう。
失業手当の受給額
失業手当でもらえる金額は離職票に記載された賃金額をもとに算定されます。原則として、退職直前の6カ月の賃金総額を180日で割って1日あたりの「賃金日額」を計算します。計算式は次のようになります。
賃金日額=退職直前の6カ月の賃金総額/180日
この賃金総額には基本給や諸手当、通勤手当が含まれますが、退職金や臨時の賃金、年3回までのボーナスは含まれません。そして失業手当は生活ができる最低限度を下回らないように、また高額支給にならないように最高限度額が設定されています。大まかな目安としては次の表のようになります。
自分の賃金日額を計算し、どれぐらいの失業手当になるのかをおおよその金額を確認してみましょう。
| 離職時の年齢 | 賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
|---|---|---|---|
| 29歳以下もしくは65歳以上 | 2,480円以上4,970円未満 | 80% | 1,984円~3,975円 |
| 4,970円以上12,210円以下 | 50~80% | 3,976円~6,105円 | |
| 12,210円超13,500円以下 | 50% | 6,105円~6,750円 | |
| 13,500円(上限額)超 | ‐ | 6,750円(上限額) | |
| 30~44歳 | 2,480円以上4,970円未満 | 80% | 1,984円~3,975円 |
| 4,970円以上12,210円以下 | 50~80% | 3,976円~6,105円 | |
| 12,210円超14,990円以下 | 50% | 6,105円~7,495円 | |
| 14,990円(上限額)超 | ‐ | 7,495円(上限額) | |
| 45~59歳 | 2,480円以上4,970円未満 | 80% | 1,984円~3,975円 |
| 4,970円以上12,210円以下 | 50~80% | 3,976円~6,105円 | |
| 12,210円超16,500円以下 | 50% | 6,105円~8,250円 | |
| 16,500円(上限額)超 | ‐ | 8,250円(上限額) | |
| 60~64歳 | 2,480円以上4,970円未満 | 80% | 1,984円~3,975円 |
| 4,970円以上10,980円以下 | 45~80% | 3,976円~4,941円 | |
| 10,980円超15,740円以下 | 45% | 4,941円~7,083円 | |
| 15,740円(上限額)超 | ‐ | 7,083円(上限額) |
参照:厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ」
失業手当の支給期間
失業手当はいつまでも支給されるわけではなく、給付日数が決まっています。この給付日数は自己都合と会社都合では異なり、保険料を支払っていた期間によっても変わってきます。以下に自己都合退職、会社都合退職、障がい者等の就職困難者の3パターンで表をまとめましたので、自分がどれだけの期間給付されるのかを確認してみてください。
自己都合退職者
| 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | |
|---|---|---|---|
| 65歳未満 | 90日 | 120日 | 150日 |
会社都合退職
| 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
障がい者等の就職困難者
| 1年未満 | 1年以上 | |
|---|---|---|
| 45歳未満 | 150日 | 300日 |
| 45歳以上 | 150日 | 360日 |
参照:厚生労働省「雇用保険の基本手当の所定給付日数」
失業手当手続きの流れ
それでは実際にどのようにすれば失業手当を受給できるのか、手続きの流れをみていきましょう。
まず退職時に会社から交付された「離職票」、そして雇用保険被保険者証を持ってハローワークに行きます。そのときには写真付きの身分証、写真(縦3cm、横2.5cm)2枚、印鑑も持っていきます。念のために銀行の通帳も持っていきましょう。
これらをそろえてハローワークに提出し、「求職の申し込み」を行います。そのあと7日間の待期期間を経て「雇用保険受給説明会」に出席しなければなりません。この説明会では失業保険の受給資格を証明する「雇用保険受給資格者証」と失業状態を表す「失業認定申告書」が渡されますので、確実に受け取ってください。
それ以降は、受給資格決定日から4週間の間隔で失業認定日が設定されるので、その認定日にハローワークに行き認定を受けると失業手当28日分が振り込まれます。この認定日にハローワークにいかないと失業認定がされず、失業手当が振り込まれないので、きちんとハローワークに行かなければなりません。
もし、認定日に面接などがある場合には事前にハローワークに相談をし、状況に応じた証明書を提出するようにしましょう。
今回の要点
- 失業手当を受給するには直近2年間に保険料を支払っていた期間が最低12カ月以上あることが必要
- ハローワークに離職票を提出して「求職の申し込み」をしなければ、失業手当はもらえない
- 支給開始日は、どのように退職したかによって変わる
- 支給される失業手当は、賃金日額によって異なる
- 失業認定日にはハローワークに必ず行く





